地球人はもともと火星に住んでいた知的生命体だった、という説を聞いたことがあるでしょうか?
宇宙人や都市伝説が語られるときに地球人の出自についても不思議なルーツがあるというのはよくありますね。
本当に地球人は元・火星人だったのでしょうか?
目次
地球人の祖先は火星人と言われる理由は?
「地球人はもともと火星で暮らす生命体だった」そんな噂が都市伝説界隈に流れていた時期があります。
サルが現在の人類に進化するには、飛躍的過ぎるためミッシングリンク(失われた進化過程)があると言われています。それを裏付けるために様々な説があり、その一つとして地球人=元・火星人というものがあるようです!
人間の体内時計は25時間周期?
この説を大きく支えていたのは、人間の体内時計と火星の自転周期が一致している、という要素でした!
実は体内時計と火星の関係について、2つの誤りがあります。
まず1つ目は、人間の体内時計は25時間周期ではない、ということ。
この実験結果を世に広めたのは、マックス・プランク行動生理学研究所という当時その分野の牽引する研究所でした。
1970年の実験で、睡眠と室内照明の関係について何も明らかになっていない時代でした。
マックス・プランク行動生理学研究所は、被験者観察のためか室内照明を点灯していたため、被験者の体内時計が24時間よりも長くなってしまい、人間の体内時計は25時間である、という間違った解釈が一時的に広まったのです。もちろん、今では、照明が睡眠に影響を与えることがわかっています。
当時、体内時計の周期が25時間ということは、もともと人間は地球由来の生き物ではない?という疑問が生まれてきたわけですね。これが、この説のきっかけだとも言われています。
体内時計については、個人差があることも現代では判明しています。24時間より短い人もいれば、長い人もいるそうで、体内時計を根拠に人類をまとめて火星の自転周期と一致しているとは説明出来ないこともおわかりですね。また、日光を浴びることでリセットもされるそうです。
体内時計の周期が火星の自転周期と一致?
2つ目の誤りは、火星の自転周期は25時間ではない、ということ。
火星の自転周期は「約24時間39分」です。25時間というにはちょっと足りませんね。
20世紀の都市伝説界隈は、インターネットが今ほど普及していなかったことが原因なのか、学術的な発見を参照していたとしてもかなり古かったり、不正確な因果関係を説明していることが多かったように思えますね。
火星に人工的な「運河」があった?
そして火星人騒動の火付け役となった発見もこの説をサポートしてみました!
火星には、運河つまり人工的な川があった、と間違いが広まったことがあります。
「運河」がある=知的生命体がいる、という論法になりました。そして、火星人がいるはずが、地表に火星に文明の痕跡がないことがわかります。
すると、意見が大きく2つに別れます。1つは地底に暮らしている説。これはまだ未踏の地なので答えは出せません。もう1つは、既に火星人は火星を離れている、とする説です。
では、その移住したであろう火星人はどこに?と考えた答えの1つが、火星人は地球へ移住してきた、というものだったんですね。
「運河」というキーワードからここまで飛躍してしまいましたが、残念ながらスタートとなった「運河」が間違いだったのです。
火星に「運河」らしきものを発見したのは、1877年、天文学者のジョヴァンニ・スキアパレッリというイタリア人でした。火星表面に線状のような模様があることを発見したのです。
これをみて「canali」(イタリア語で溝・筋)と名付けたのですが、これが英語圏で「canals」(英語で運河)と訳されたことから、人工的に作られた川がある!水がある!と宇宙人への期待に飛躍していったのでした。
過去の火星探査では、その運河も錯覚だったことがわかり、さらには、現在は液体の水はなく(極冠という極地の氷があったり、かつて水があった形跡はある)、生命の存在もないことがわかりました。
しかし、近年の火星由来の隕石からバクテリアの化石らしきものも見つかりましたが、否定的な説が圧倒的多数。個人的には火星人の存在に期待したいところですが、一昔前の火星人説の筋書きでは、その存在を証明できないようです。
以上のことから「人間の体内時計は25時間だ!」「火星の自転周期もちょうど25時間だった!」「火星に人工的な運河があった!」という要素がこの説を支えていたわけですね。今となっては、その全てが現代科学でされています。
火星もかつては生命が存在しそうな惑星だった?
先程、火星にも液体の水があったことがある、とお話しました。
地球がそうであったように、生命誕生の絶対条件として液体の水の存在が重要視されています。そんな中、火星では液体の水の痕跡がいくつか発見されています!
水がないと生成されない鉱物があった?
2004年の火星探査機オポチュニティの調査で、球形の赤鉄鉱が発見されました。これは、酸化鉄の一種で、数十億年前に流れのない水や湧き水があったような環境でつくられたものだそうです。
また、鉄ミョウバン石という温泉的な環境下で作られる鉱物も発見されています。さらに、水中の沈殿物としてつくられる針鉄鉱も発見されています。
これらの鉱物の発見から、地中に水があった可能性が十分に高いと、研究者たちは考えているそうですよ!
最近の調査で液体が存在した様子があった!
クレーターの内側の斜面を液体が流れた痕跡が発見されることもありました。この液体が流れた痕跡については、面白い発見の過程がありました!
1999年に撮影したクレーターではそういった痕跡はなかったそうですが、2006年に撮影にした同じクレーターで液体が流れた痕跡が発見されたそうです。1999年~2006年のごく直近に液体が存在したようなのです!
火星での生命発見とまではいかずとも、その可能性を探る調査が進んでいてワクワクしますね!
火星人は地球人とは全く別の生命体?
地球人が元・火星人ではないという証拠として、もう1つあります。
この説は、地球の生き物の中で人間だけが特別(火星由来)であるとしていますが、遺伝子的にはありえないというのです。
人間とチンパンジーでは99%の一致。犬でも94%、猫は90%。魚というかけ離れた生き物でも85%もシンクロしているそうなんです。
地球で暮らす全ての生き物が火星由来であれば成立するのですが、そんなことは有り得そうもないですね。
では、火星人はどんな生命体なのでしょうか?
生活環境が違い過ぎる火星
上記の遺伝子シンクロ率のことから、出自が異なる火星人は、全く未知の造形や構造をしていることは間違いないでしょうね。
まず、大気がとても薄いのです。地球よりも重力が小さいため、地球の約0.75%の大気圧なんです。またその主成分も二酸化炭素であるため、我々のような酸素をエネルギーとしている生命体ではないようですね。
大気が薄く、温室効果もほとんどないことから、気温に関して太陽の光の影響をモロに受けている火星。気温は温かい場合でも20℃程度で、陽の当たらない面は氷点下50℃を下回るほどの極寒です!極端な気温の変化に対応できる必要がありますね。
また、火星の調査が進み、太陽風から惑星を守る磁気圏が無いこともわかっています。宇宙線(高エネルギー放射線)のせいで地下7.5mより下で暮らすことになる必要があります!火星人は地底人でもあるということが確定しました!
我々人間は他の生命体を摂取することで生きながらえています。火星人の栄養補給はどうでしょうか。
生命体が地表にいないため、はっきりしたことはなにも言えませんが、地底に住む生物を摂取しているのでしょうか?それとも鉱物を体のエネルギーとして摂取しているのでしょうか?きっと全く異なった食文化があることでしょうね。
火星の生命発見はMARS2020に期待したい!
期待させたり、裏切ったり、誤解から勝手に妄想を膨らませたりと、地球人を楽しませ続けてくれている火星ですが、NASAの「MARS2020」というプロジェクトにまたその注目が集まりそうです!
探査機の火星到着は2021年だそうですが、最新鋭の技術を搭載しての火星探査で、また我々をワクワクさせてくれることは間違いないでしょうね!
なんでも、有人探査や探査のための滞在ができるように、火星の資源から酸素を製造する計画もあるそうですよ!
火星探査はここまで進んでいました!
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